らいおんの小ネタ劇場

2004 年 4 月 22 日


第 14 回 : 大人の女性

 今日は珍しく桜の家に遊びに来ています。
 で、桜が少し買い物に出るということなので、今この場には私とライダーの二人きりなのですが……。


「……」

 日の光に照らされたテラス。
 チェアにゆったりと身を沈めてコーヒーに口をつけるライダー。

「……」

 同じく日の光に照らされたテラス。
 チェアにゆったりと身を沈めて緑茶を啜る私。


「……」

 ライダーの細い指が経済新聞をめくる。
 彼女は東証一部の株価に目を留めると、眼鏡をす……と持ち上げて、その瞳を細めた。

「……」

 私の細い指が読売新聞をめくる。
 先ほどからテレビ欄と四コマ漫画を行ったり来たりしているだけの様な気がしますが気のせいでしょう。


「……」

 ライダーがバスケットに盛られたクラッカーを一枚つまみ口に運ぶ。
 パリ、と小さな音がして少しずつ彼女の中に消えていく。

「……」

 私はお盆に盛られた煎餅を一枚つまみ口に運ぶ。
 ばりん、と豪快な音がして瞬く間に私の中に消え、次の一枚を求めて手を伸ばす。


「……」

 ぼり、ばり、ぼり……と、咀嚼する自分がなんだか虚しい。

「ただいまー、って、どうしたのセイバーさん?」
「桜……私はもしかして子供なのでしょうか」
「は?」

 いえ、なんだか自分の扱いに疑問を感じただけです。
 というかライダー、人の悩みを笑うのは良くないと思います。