らいおんの小ネタ劇場
2004 年 4 月 12 日
第 4 回 : 雨
「……む、雨ですか」
その日の昼下がり、晴れていた空が俄かに曇り雨が降り出した。
――今日は確かシロウは傘を持っていなかったはず。
そのことを思い出し、彼の傘を持って学校へ行くことにした。
雨空の下をぴちゃぴちゃと水音をたてながら、長い坂を上る。
途中、何人かシロウたちと同じ制服を着た学生とすれ違う。もしかしたらシロウは困っているかもしれないと、そう思うと自然足早になった。
そうして校門に到着すると、二人の男女が向こうから歩いてきた。
「……むっ」
あれはシロウと凛……ですが、妙に二人が密着している。
いわゆるところの相合傘というヤツでしょうか。
「……むぅ」
――で。
「お、おい……セイバーも遠坂も、俺の傘はちゃんとセイバーが持って来てくれたんだからいいじゃないか」
「黙っていてくださいシロウ。これは必要なことなのです。……私にとって」
「そうよ衛宮君。わたしたちが良いって言ってるんだから、あなたに選択権はないの」
真中にシロウを据えて二つの傘を三人で使うのは相合傘と言うのでしょうか?
シロウと触れ合った肩と雨に濡れた肩の温度差が印象的だった雨の日の午後。