暗い暗い闇の中。意識だけがぼんやりと浮かび上がっているような感覚。

 ――ああ、夢を見ているんだな。

 そう気づくのはいつも覚醒する直前だ。だから俺がこの世界にいられるのも長くはない。
 夢っていうのはそんなもので、どんなにいい夢で長く見ていたいと思っていても、逆に最悪な夢でとっとと目覚めたいと思っていても、夢の中で与えられる時間は等しく短い。
 でもそれが短かったと感じるのは大抵目が覚めた後で、悪い夢を見ているときは一秒が一分に感じられるほど、時間の流れを遅く感じるものだ。

 それはおそらく、現実の世界でも同じ。
 いつだって楽しいと感じる時間ほど早く過ぎ去ってしまい、だからこそ鮮烈に記憶に残るのだろう。

 そして今日の夢はというと、特筆して良い夢だというわけではない。
 かといって悪い夢だというわけでもなく、敢えて言うなら少し変わっている夢だった。
 その夢は以前見ていたアルトリアとの別れの日の夢のように過去のことを思い出すモノでもなく、子供のころに見ていたなんだか良くわからないロボットに追いかけられるような荒唐無稽な夢でもない。

 ただ暗い。
 だが暗い中に、一点の光が見えた。

 良く見るとそれは細長く、無骨なそれは棒のようなものだった。

 ――ああ、剣だな。

 そうわかったのは何故だろうか。
 もしかしたら俺の魔術の性質に関係しているのかもしれないが、そんなことはどうでもよく、俺にはあれが剣だとわかった。

 その無骨な剣は、暗闇の中、とても遠くで光っていた。
 試しに手を伸ばしても、届くわけがない。だがわかっていても伸ばさずにはいられなかった。
 あの剣が俺にとって、とても大切なモノであると、漠然と理解していた。

 ――届け。

 必死に手を伸ばす。
 伸ばした手は当たりまえのように届かず、剣は遥か遠い先で憎らしいくらいに平然と光っている。
 それが馬鹿にされているようで腹が立った。

 ――てめえ、■■■■の分際で……!

 毒づいて、尚も手を伸ばす。
 届かないとわかっていても伸ばす。アレを手にすることは俺にとって何よりも必要なことで、絶対のことだった。

 だが、暗闇が揺らぐ。同時に浮き上がっていく感覚。
 覚醒が近いのだ。現実の世界にいる俺が目覚めようとしている。

 だけど待ってくれ。俺はまだアレを手にしていない。



 もがくように、千切れよと言わんばかりに手を伸ばす。届かないとわかっていても伸ばさずにはいられない。
 がむしゃらに子供のように、手の中にないにも関わらず、必死に握り締める。

 だがいくら握っても、手の中には何も残らず、虚しく暗闇が揺らぐのみ。

 ――畜生。

 世界の揺らぎ、崩壊はもはや留めようがなく、現実から僅かに光が零れてくる。
 だが事ここに至っても諦めきれない俺は、それでも尚手を伸ばし――



 むにゅ



 と、何かとても柔らかくて危険なモノを掴んだ感触を最後に、目覚めていった。





Day Dream/vow knight

――night 06――

『アインツベルン』






「シロウのえっち」

 目覚めの一発目で言われた言葉がそれだった。なんだかとても理不尽な気がする。

「ていうか、なんでイリヤが俺のふとんの中にいるんだよ」
「えー、シロウはダメだって言うの?」
「駄目だって前から言ってるだろ? レディがこういうことするもんじゃない」

 目の前で膨れているイリヤの白く幼い顔。長い銀髪が腕にかかって少しこそばゆい。
 以前の俺だったら悲鳴のひとつでも上げて逃げていたところだが、良くも悪くもイリヤの侵入に慣れちまった今では落ち着いたものである。

「だいたいだぞイリヤ、俺がえっちってどういうことだよ。潜り込んできたのはイリヤじゃないか」
「む。シロウは私がえっちだってゆーの? ――まあ、シロウが相手ならえっちになってあげてもいいけど」
「ばっ……!」

 その、ちいさな唇に人差し指を当て笑みを浮かべて、半眼で俺を見つめるイリヤ。
 いや、落ち着け俺。イリヤにはいつもこうやってからかわれてるじゃないか。いい加減、やり返せないようじゃお兄ちゃんとしての威厳に関わる。

『そんなものは最初からないはずだが』

 脳裏でそんなことを言う遠坂の声が聞こえたが、丸っきり無視してスルーする。
 ばくばくする心臓――いや、最初からイリヤにこんなこと言われてドキドキしてるようじゃ駄目なんだが――を、どうにか宥めてすかして、

「イリヤ。そういうことは本当に好きな男の前でしか言っちゃ駄目だぞ。更に言えばそんな男が出てきても俺は認めないからな」

 なんだかとても違うことを言ってしまったような気がした。

「と、とにかくだ! 早くふとんから出て行きなさい!」
「ぶー。わかったわよー」

 唇を尖らせて不満そうなイリヤだが、次の瞬間、ふと気づいたように、

「あ、でもシロウが離してくれないと出られないんだけど」
「あ? 俺がどうしたって?」
「はぁ……シロウ、右手」

 右手?
 ああ、そういえばさっきから柔らかいものを握っているような気がするんだが。
 ……やわらか?

「ぁん、も、もうシロウ……そんなに揉みしだかないでよ」
「……もみ?」

 言われて見ると――ああ、確かに俺の右手はふとんの中でイリヤのおしりを揉んでいるな。
 もみもみと。
 まあ……アルトリアのよりはさすがに肉付きが薄いよなぁ……。そうでなかったらいろいろと哀れだぞ。

 ・
 ・
 ・

「うわあああぁぁぁあぁあああぁぁっ!!?」
「む、シロウ反応おそーい」

 と言われてもっ! うわぁ、俺はなんてことしちまったんだっ! よりにもよって妹みたいなイリヤのおしりを揉んじまうなんてっ!
 いまだ感触の残る右手から煩悩を振り払いつつ、俺は無意識のうちにふとんから飛び出して部屋の隅っこまで後ずさる。

「どうしましたシロウ!?」
「どうしたんですか先輩!!」

 と、隣室とを隔てるふすまがスパーンと開かれてパジャマ姿のアルトリアが。そして台所で朝食の仕度をしていたらしい桜は制服の上にエプロンをつけていて、ついでに右手に握られた包丁が今の俺には脅威そのものだったり。

「あ゛あ゛〜ったく……なによ、朝っぱらから……」

 ワンテンポ遅れて現れたのは、寝起きでパジャマ姿の遠坂凛。なんだこいつ、泊まってったのか。
 髪はぼさぼさで目はやぶ睨み。というか、普通女の子が恋人でもない男の前にパジャマ姿なんか晒すか? もはや俺に対しては何の遠慮もなくなってるな遠坂のやつ。男扱いされてないってことか?

「で……シロウ?」

 などと考えているところに堕ちてくるアルトリアの声。
 そう。それは『堕ちてくる』というに相応しいほどに重く圧し掛かるような低い声だった。いつもは耳に心地よさすら感じるアルトリアの声が、今日今この時ばかりは、唯々『コワイDETH』という感情しか呼び起こさない。

 ギギギと、軋む首を持ち上げてアルトリアのほうを見上げると――

「何故……イリヤスフィールがシロウのふとんの中にいて、何故彼女パジャマのズボンが落ちかけているのか……説明願いたい」

 はうわーーーッ!? 無表情なのに怒ってるってのがイタイほどにわかるよママン!

「ま、待ってくれアルトリア! 誤解なんだって!」
「うっうっ……サクラ、私シロウにやめてって何度も言ったのに……シロウの手がまるで触手みたいに私のおしりを……!」
「そ、そんなイリヤちゃん……先輩、まだ小さいイリヤちゃんにそんなマニアックな仕打ちをするなんて……最低です!」
「うわぁい、なんかあっという間に濡れ衣着せられてますかーーーっ!?」
「フ……そういうことですかシロウ。私はもう古い女ということですか……。確かこの国の言葉で『女房と畳は新しい物が良い』という言葉がありましたね」
「いやだから待てアルトリア。っていうかそんな言葉どこで覚えてくるんだ?」

 と、それまでずっと様子を伺っていた遠坂がふむ、と頷き、

「ま、事情もわかったことだし……これはまた裁判かしらね」

 裁判ッ!?
 ということはまたアレか? 俺にこの世最初の屈辱を与えた衛宮家弾劾裁判、その第二回ということか!? しかもこの展開だとまた強姦罪!

 それだけは避けたい。それだけは勘弁願いたい。

「ちょっ……」
「待ってください凛。その必要はありません――」
「アルトリア!?」

 彼女のその言葉に俺は救われた気になった、やはり彼女は俺にとっての女神なのだと。
 が――それは彼女の次の言葉と凍るような冷たい視線によって粉々に砕かれた。

「――何故なら……そんなことをするまでもなく有罪ですから」

 ああ、アルトリア……俺は君のその猪突猛進なところは間違いなく欠点だと思うぞ……。

 その手にいつの間にか竹刀を構えたアルトリアを見ながら、俺はもはや諦めの境地に至っていた。



◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



「それにしてもアルトリアってば、すごいうろたえようだったわね」
「まあ……俺としては誤解が解けてよかったよ」
「もう、先輩も早く言ってくれれば良かったんです」
「いや、だから何度も説明しようとしたってば」

 と、話している俺たち三人は弓道場で弁当を広げていた。
 なにを話しているのかというと、今朝の騒ぎのその後の顛末。ぷんぷん怒ってしまったアルトリアが俺に竹刀を振り下ろそうとしたその時に真の救いの女神、というかそもそもは小悪魔のイリヤから事情を説明され、誤解が解けてめでたしめでたし……。
 と、なれば良かったんだが、誤解とはいえ俺に手を上げようとしたことに対してアルトリアが落ち込んでしまい、慰めるのに大変だったのだ。
 落ち込んでしょんぼりしているアルトリアというのも、最近は結構見慣れたものだったがそれでも、

『あの……ごめんなさい。怒ってませんか? シロウ……』

 と、上目遣いで窺ってくるのは、これはもうどうにもこうにも反則である。
 いくらなにがあろうと、これじゃあ『怒ってないよ』と答える以外にないじゃないか。
 まあ、結局のところはどうにかこうにか慰めて、今朝学校に出るときにはいつもと同じように笑って送り出してくれた。今頃はきっと俺が残してきたお昼ご飯を食べて、その後は掃除か洗濯なのだろうな。
 最近のアルトリアは特訓の成果もあって、めきめき家事の腕を上げてきている。
 エプロンをつけてきびきびと動く後姿はいわゆるところの新妻のようで……うん、とてもよいのだ。

「んー? なにニヤニヤしてるのかしら、衛宮君?」
「うっ、い、いや……別に何も?」

 しまった、油断した。遠坂がすぐ傍にいるというのにだらしなく妄想に耽っちまうなんて、我ながら不覚。
 そっと見れば、既にあくまは獲物を補足した時に浮かべるチェシャ猫の笑みを浮かべていた。

「もしかして衛宮君ってば、今朝のことを思い出してイリヤのおしりの感触でも思い出してた?」
「だーーーっ、ばかおんな! そんなわけないだろ!」
「む。ばかおんなとは失礼ね」
「そうですか? 今のは遠坂先輩も失礼だと思いますけど。イリヤちゃんは先輩にとっては妹みたいなものなんでしょう? だったらそんなこと考えるはずないじゃないですか」

 うむ、その通り。さすがだ桜、いいぞもっとやれ。

「なに言ってんのよ桜。貴女だって最初はイリヤの言うこと信じて『先輩最低です!』とか言ってたじゃない」
「え……あぅ。そ、それはその……そのぅ」

 ああ、そういえば確かにそんなこと言ってたな。
 低血圧で脳の動きが満足でないときのことまで明確に覚えてるなんて、くそぅ、さすがは遠坂。猫を被った優等生は伊達じゃない。

「それに、あんたはイリヤのことを妹みたいに思ってるかもしれないけど、向こうはそうじゃないかもよ?」
「な、なんだよそれ……そんなわけないだろ!」

 目を細めて笑う遠坂に思わずむきになって反論する。
 まさか、そんなことがあるわけがない。確かにイリヤは時々すごく大人びてるけど、俺のことを兄と慕ってくれていることには自信がある。

「それとも遠坂は、俺がイリヤに嫌われているとでも言うのかよ」
「じゃなくてね……はあ、この調子じゃイリヤも報われないわね。まあ、あの娘はそんなに立場にはこだわってないからいいんだけど」
「なんですか? 遠坂先輩」

 呆れたようにため息をつく遠坂が視線を向けた先で、桜が微笑んでいる……んだけどなぁ?
「……別に。いいわよ、なんでもない。でも衛宮君、その鈍感なのもいい加減にしなさいよ。世の中にはアルトリアばかりじゃないんだから」
「な、なんのこっちゃ?」
「ふふっ、そういうことを言ってるから先輩は鈍いって言われちゃうんです」

 む……なんかよくわからないけど、落ち度は俺にあるらしい。
 呆れているらしい遠坂と、なんでか笑っている桜に挟まれて、微妙に居た堪れない気分の俺。要するにこれが針の筵というやつか?

「おー、待たせちゃったね。悪い悪い」

 と、そんなところに両手にパンと俺たちの分のドリンクを抱えた美綴が戻ってきた。
 正直、助かった。彼女が戻ってきてくれたおかげでようやく俺も針の筵から解放されて、足元が普通の床に戻ってくれた。

「あれ? どうしたんだ、なんかあったの?」
「いや、なんでもない。それより美綴、それおまえ一人で全部食べるのか?」
「ああ、今日はちょっと朝ご飯抜いちゃってさ。お腹すいちゃって」
「あら……大丈夫なんですか美綴さん。育ち盛りなのはわかりますけど、少々カロリーの摂りすぎなんじゃありません?」
「御心配なく。あたしはちゃーんと運動して発散してるからね。食っちゃ寝のあんたとは違うのよ」

 もはやこのメンツの前ではまったく意味を成さない猫マスクを被ってからかう遠坂に、美綴も軽口で返す。
 そんな二人の様子に、俺と桜は思わず顔を見合わせて笑いあっていた。



「ところで衛宮、あんたやっぱり弓道部に戻ってくるつもりはないのかい?」

 すっかり昼飯も食べ終えて、それぞれパックのジュースを飲みながらまったりしていたところで、美綴がいきなりこんなことを言い出した。

「は? なに言ってるんだよ、もう俺たちは三年でおまえももうすぐ引退だろ? ていうか、まだ諦めてなかったのか」
「とーぜん。最後の大会はまだあるし、高校を卒業する前に衛宮には一度くらい勝っておきたくてね」

 目を細めて笑いながら、美綴はこちらにずいと身を乗り出してきた。

「ね、衛宮。せっかくだから見せてくれないか?」
「なにをだよ」
「決まってるだろ、アンタの射だよ。久しぶりに見てみたい」
「なんでさ」
「なんでって、見たいものは見たいからだよ。他に理由なんてあるかい。……まあ、強いて言うなら、アンタの射は見てて惚れ惚れするから、かな」

 惚れ惚れねえ……正直自分では良くわからないが、褒められているのは確かだろうし、悪い気はしない。
 でも俺はもう弓はやめた。
 何故ならば――俺の射は己に当てるものじゃない。そんなものじゃ誰も救えない。
 俺は己のためにではなく、誰かを救うために矢を射る。

 誰かを救うために弓矢を用いるとうことは、場合によっては誰かを狙う時もあるということだ。
 道具としての弓矢はあくまで武器である。鏃は鋭く、放たれれば風を切って飛び、肉を抉って骨に至る。
 狙えば容易く人を殺すことも出来る、必殺の武器のひとつだ。

 俺は、叶うならば避けたいとは思っているけれど、場合によっては弓矢をそのように使うこともできる。そのように覚悟している。
 だから今の俺に射をする資格はない。弓道からすればそれは既に正道ではなく邪道なのだから。

「だめだよ、もう俺は弓の道は捨てたんだ」
「一度でも引こうという気にはならない?」
「先輩……」

 だが桜までもが申し訳なさそうな、しかしどこか期待するような顔をして俺を見つめていた。
 そして――。

「わたしも見てみたいわね」
「なんだよ、遠坂までそんなこと言うのか?」
「だって不公平だと思わない? 綾子も桜も見たことがあるものを、わたし一人だけ見ていないんだから」

 軽い口調で言いながら、その実目はちっとも笑っていない。真剣そのもので、どこか有無を言わせない雰囲気が今の遠坂には、ある。

 一瞬脳裏にあの赤い騎士の背中が過ぎった。
 遠坂のサーヴァントだった弓の騎士。どうしても好きになれなかった、衛宮士郎とは決定的に重なることのない男。
 だが確実に今の俺を造り上げる一因となり、そして消えていった男。

 そういえば遠坂、いつだったか言ってたな……俺とあいつが似ているって。
 その言葉には素直に頷きたくはないが、かといって全面的に否定することも出来ない。

「遠坂」
「なに?」
「遠坂はあいつの……いや、なんでもない」

 言いかけた口を噤み立ち上がる。

「美綴、おまえの弓を借りていいか?」
「え? あ、ああ……構わないけど」

 立てかけてあった弓と矢を俺に手渡しながら、その表情は戸惑いを見せている。
 自分で言い出しておきながら、まさか俺が応じるとは思っていなかったんだろう。しかも一度は断っているとなれば尚更だ。

「まったく、俺も案外腰が軽いよな」

 だが正直言って、俺もどうしてこんな気になったのかはよくわからない。
 ただなんとなく、遠坂に見せてやりたくなったのだ。俺は、あいつじゃないってこと。
 どれだけ似通っていても、どれだけ遠坂の中で重なっていたとしても――俺とあいつは決定的に異なっている。

 射場に立ち、正面に的を見据えてイメージする。
 この先に在るのは的ではなく障害だ。俺の道を遮る己の弱さであり、立ちはだかる敵でもある。

「言っておくが、これから俺が見せるのは射じゃない。矢だ。弓道からすれば正道ではなく邪道。だから美綴、止めるなら今のうちだぞ」

 だが、誰も何も言わない。
 ならば、もはや射抜く矢は止められず、障害はただ貫かれるのみである。


 外八文字に足を踏み、胴を造って気息を整える。心気は丹田に置き、矢は真っ直ぐに障害へ。
 馬手を弦に絡ませ、手の内を整える。弓矢は柔らかく保って物見を定めた。

 周囲が暗く落ちて、見えたのはあいつの背中だったか、それとも自分自身か。
 イメージは先行して会に至る。番えた矢は真っ直ぐに目標を指し、引き絞られる。

 弓構えの位置から両拳を同じ高さに打起し、大三に力を取って弓を押し、弦を引いて引き分ける。
 構えは会に至る。五重十文字を構成し、心身の合一は成り発射の機は熟した。

 この時、既にイメージは離れを終え、矢は障害を射抜いている。
 ならば外れる道理はない。あとはイメージ通りに矢を離せば、描いた線上に乗って必中する。

 故に離れた矢は真っ直ぐに走り、高い音を立てて的中した。――そして、残心。
 だがしかし、俺の残心は既に成っている。
 俺にとっての残心は、放たれた矢の行く先にある結果を受け入れる行為だ。ならば、離れの前に既に残心が成っていなければおかしい。

 己の道を正しいと信じ、誇るならば――その結果に後悔などはない。


 弓を倒して、息を吐く。

「は――」

 久しぶりだったせいか、妙に疲れた。この後もう一回やれと言われても、絶対に出来ない自信がある。

「ありがとう美綴、さすがにいい弓だな。よく手入れされてるよ」
「あ、ああ」

 手渡す瞬間は呆けたように口を開きっぱなしだったが、すぐに表情を引き締めて、

「やっぱりおかしい。なんであんたみたいなのが弓道をやめるんだ。納得いかない」
「何でと言われてもな……道が違うんだ、しょうがないだろ」
「だけどさ」
「何度問答したって交わらないよ。だからこの話はもうお終いだし、もう射場には立たない」

 そう言って手をひらひら振りながら話を打ち切る。
 美綴は相変わらず不機嫌そうにしていたが、問答が無駄だということは彼女にもわかったのだろう。黙って弓を立てかけに行った。

「で、遠坂。これでいいのか?」
「え? ああ……うん」
「なんだよその顔。遠坂らしくもない、口開きっぱなしだぞ」

 振り返った遠坂は呆けたようにまぬけな顔を晒していたが、指摘すると真っ赤になってこちらを睨み据える。

「なによ、悪かったわね」
「別に悪いなんて言ってないだろ。それに遠坂の恥ずかしいところなんてそれこそ今更じゃないか。いつも見てるんだし」
「……どーいう意味よ。だけどすごいじゃない、話には聞いてたけど、ここまでとは思わなかった」
「そ、そうか?」

 いつも遠坂からはからかわれているからか、こうも素直に褒められるのは正直面映い。
 だけど当の遠坂はといえば、もうそんなことを言ったのは忘れたかのように、たった今放った矢が突き立っている的のほうを見つめている。
 その彼女の瞳に映っているのがなんなのか、俺には知る由もない。
 そして彼女の中で俺が誰と重なっていても俺にとっては何の関係もなく、きっと遠坂だけの問題なのであり、俺が口出しできることではないのだ。

 何故なら、俺とあいつがどれだけ似ていようとも、俺たちは間違いなく別人同士なのだから。



◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



「なんか一雨来そうな空ね」
「そろそろ梅雨入りの季節だしな。洗濯物を干すのに困る季節がまたやって来たわけだ」
「なによそれ、主夫じみたセリフねぇ……」

 呆れたような顔で振り返る遠坂は、後ろ手に夕飯の材料が入った買い物袋を持って俺の一歩前を歩いていた。

「ちゃんと前見て歩かないと危ないぞ」
「へーきよ。わたしは士郎みたいにまぬけじゃないもの」

 そう言って彼女はくすくすと笑う。
 その言葉が自分を馬鹿にしているのはわかっていたが、それでも笑う遠坂を可愛いと感じてしまうのだから、こいつはずるいと思う。

 頭上の空は遠坂が言った通りに暗く澱んで、少し突いてやればすぐにでも振り出しそうなほどに重く垂れ込めている。
 俺たちは二人とも傘を持っていないから、今のうちに降り出されると少し困ることになる。こんな重たい荷物を持ったまま家路を走るのもゴメンだし、そうなると遠坂は俺に荷物を渡して自分はさっさと行ってしまうだろうから、理不尽な気持ちまで味わうことになるだろう。

「ちょっと士郎……あんた今、すごく失礼なこと考えたりしなかった?」
「いや、別に何も」

 さすが遠坂、獣のような直感を持つ女。

「そういえばアルトリア、ちゃんと洗濯物取り込んでるかなって思ってさ」
「ああ、この空だもんね」

 そんなどうでもよさげなことを話しながら、家までの帰路を並んで歩く。
 俺の家への道と遠坂の家への道とに分かれる十字路に差し掛かるが、遠坂はこのままうちに来るつもりらしく、道を過ぎても何も言わずそのままだ。
 アルトリアが来てからというものの、遠坂は自分の家に帰ることが少なくなり、一週間に三日は俺の家で過ごしている。
 遠坂が使っている離れの部屋は既に私物で溢れかえっているし、今日アルトリアが干してくれた洗濯物にも、普通に遠坂の服が混じっている。もちろん彼女のだけでなく、アルトリアはもちろん、桜や藤ねえ、イリヤのものも時には混じるのだ。

 ……我のことながら、これは結構すごい状況だと思う。
 なんせ今や衛宮の屋敷は、男女比1:5で、まるでどこかの女子寮みたいな状況なのだ。庭に干した洗濯物に色とりどりの女性用下着が翻っている様は正直、こちらの精神的にはよろしくない。
 というか気にしていない彼女らのほうがどうかしていると思うのだけど、そこんところどうなのさ。

「……ん?」

 と、道の向こう側に見慣れた白い影が過ぎったような気がした。

「イリヤか?」
「なに、イリヤがどうしたの?」
「いや……あそこにイリヤがいたような気がしたんだけどな」
「……いないじゃない」

 ところが遠坂が言うようにそこには既に影も形もなく、ましてやイリヤの銀髪などどこにも見当たらない。
 だけど確かに長い銀髪が見えたような気がしたんだけど、な。

「迎えにでも来てたのかな」
「だったらあの娘がそのまま帰るわけ無いじゃない。『シーローウー!』とかってあんたの名前呼びながら、今頃腰にしがみついてるわよ」
「まあ、それもそうだな」

 その光景が明確に脳裏に浮かぶくらいにはイリヤの行動パターンにだいぶ慣れてきている。
 で、あればきっと俺の見間違いだったのだろう。
 それに気になるなら後で彼女から直接聞けばいいだけのことだ。イリヤはいつもこのくらいの時間には、家で帰りを待っていてくれているのだから。



「「ただいまー」」

 ていうか、もはやお邪魔します、とすら言わなくなったなこいつ。まあ、いいんだけど。

「お帰りなさい、シロウ、凛。お疲れ様でした」
「ただいま、アルトリア」

 靴を脱いでいるとアルトリアが玄関まで迎えに出てきてくれて、微笑みながら俺の手から鞄を受け取る。

「今日はなんか変わったことあった?」
「いえ、特に何も。屋敷の掃除をして、洗濯をして……いつも通り平穏無事でした」
「お昼ご飯はどうしたのよ」
「ああ、それならばイリヤスフィールが遊びに来ていたので、彼女と共に頂きました」
「なんだ、やっぱりイリヤ来てたんだ」

 廊下をとてとてと歩いて一路リビングへ。

「ただいまイリヤ」
「あっ! おかえり、シロウ!」

 とやーっとばかりに飛び込んできたイリヤのちっちゃい身体を受け止めて、ごろごろと甘える彼女の髪を撫でる。
 ついでにイリヤの頭の上に乗っているウサギ――命名・チビヤスフィール(通称チビヤ)――も撫でてやった。

 このウサギ、いったい何者かとは言うまでもなく、以前動物園からイリヤが連れ帰ってしまったあのチビである。以来、イリヤに懐いた彼女(メスだった)は、イリヤの頭の上をデフォルトのポジションとして、常に行動を共にするようになったのだ。
 個人的にはイリヤが飛んだり跳ねたり暴れたりしても頭の上から落っこちないバランス感覚の謎を是非解き明かしたいのだが。

「ほら、イリヤ離れな。お茶入れるからさ」
「うん、じゃあ私は紅茶で」
「了解、他のみんなは?」
「あ、わたしもイリヤと同じで良いわ」
「シロウ、私は緑茶でお願いします」
「……牛乳」
「では私はミルクティーで」

 イリヤを離して台所に入りながら、背中で全員のリクエストを受け付ける。紅茶と緑茶、牛乳にミルクティーね。またばらばらだなぁ。どいつもこいつも淹れる人間の手間ってのをまったく考えちゃいない。
 けどちょっとした手間で皆で楽しいお茶が出来るなら、これくらいはたいした手間でもないけどな。

「あ、そういえばお茶菓子ってまだあったっけ」

「それなら、ちゃんと、買ってきた」
「ん? そうなのか」

 答えながらやかんに火をかけて、ポットで温めていたお湯でティーサーバーとティーカップを温めておく。
 これが美味しい紅茶を淹れるコツなのだそうだ。紅茶党の遠坂に仕込まれたおかげで、俺の紅茶の淹れ方もだいぶ様になってきた、とは遠坂の談。
 ちなみに一緒に湯飲みも暖めているが、これは俺とアルトリアの緑茶のためだ。

「人様の家に行く時は、手土産が当たりまえ。バームクーヘン」
「そっか、ありがとな」
「どういたしまして」

 お湯を沸かしている間に冷蔵庫から牛乳のパックを取り出してカップに注いで、牛乳はこれで準備完了。実に楽でよろしい。
 次に急須と、温まったティーサーバーにそれぞれ茶葉を入れて、お湯が沸くまでしばし待機。うちの茶葉は緑茶でも紅茶でもあまり良いのを使っているわけではないのだが、その辺りはさすがに勘弁してもらいたい。

「ふふん、随分と手際良くなってきたじゃない、士郎」
「そりゃあれだけ仕込まれればな。全部おまえのおかげだよ、遠坂」
「もちろんよ、感謝しなさい」

 ちょっとした皮肉を込めて言うもそんなのがあいつに通用するワケもなく、口元に浮かべた優雅な笑みでさらりとかわされる。
 その間にも俺は手を止めず、沸騰したお湯をティーサーバーに一気に注いでふたをする。これであと二、三分も蒸らせば紅茶の準備も完了。緑茶のほうも少しお湯を冷ましてから急須に注いで、あとはお茶が出るのを待つだけだ。

「はい、お待たせ。ミルクティーは自分の好みで入れてくれ。普通の牛乳だけど良いよな」
「贅沢は言いません。ありがとうございます、シロウ様」
「『様』ね……頼むからそいつはやめてくれないか? 俺には似合わなくって背中がこそばゆくなっちまう」
「ですが貴方はお嬢様の想い人です。たとえただの人間だとしても、お嬢様の大切な方ならそれ相応の態度が必要です」

 と、慇懃に言ってはくれるものの、内心ではあまり良く思ってないのは見え見えだな。というか、そんなことを言いながら俺に茶の仕度をさせている辺りこの人も結構いい性格をしている。それとも単に抜けてるだけか?

「ま、いいけどさ。いつかは直してくれよ」

 各人の前にお茶を配ってアルトリアの隣に座ると、誰が何を言うとなしにお茶会が始まる。この時間ならおやつの時間といっても良いか。
 お土産に持ってきてくれたバームクーヘンと緑茶という組み合わせはなかなかに微妙な和洋折衷だが、美味ければ何でもいいか。

「――さて」

 ずっ、と一息入れたところで、対面に座っている二人に目を合わす。

「確か、セラさんとリーゼリットさん……だったっけ。お久しぶり」
「はい、その通りですシロウ様」
「久しぶり、シロウ」

 背筋を真っ直ぐに伸ばして深々と頭を下げるセラさんと、ちゃっと右手を上げて挨拶代わりにするリーゼリットさん。
 なんというか、見事なまでに対照的な二人だ。

「なあイリヤ、この二人はイリヤの関係者なわけだよな」
「うん。セラもリズも私付きのメイド」
「メイド……ってことは、二人が着てるのはメイド服なわけ?」

 まじまじと彼女たちの服装を見ながら顎に手をやって頷く遠坂。その仕草がなんとなくおっさんくさい……と言ったらきっとガンドなんだろうな。
 しかし遠坂じゃないが、俺もメイド服には興味はある。
 前回お目にかかったときは聖杯戦争真っ只中で、しかも俺はイリヤのモノになるかならぬかという、正にDead or Aliveな状況だったから、じっくり見ている暇なんて無かったし。

「……シロウ」
「いや、まあじっくり見ている暇は今も無いわけで」

 隣に座っているアルトリアからすっごいプレッシャー。というわけで自粛自粛。

「で、本題なんだけど、やっぱり何か用があってここにきたわけだよね」
「はい」

 こくりと頷くセラさん。そりゃ、何か用が無ければ来るわけないよな。
 イリヤがこの家に住むようになってからもう三ヶ月以上経っている。それまで全く音沙汰もなかったんだから――

「……と、ちょっと待て。となると君たちは今までどこに住んでたんだ?」
「森の城です。お嬢様がいなくとも、あの城はアインツベルンの城です。いつお嬢様が戻られてもいいようにしておくのは私たちの当然の役目ですから」
「なるほど。イリヤスフィールには良い侍女がついているのですね」
「でも、わたしたちだけであの城を掃除するの、正直ムリ」
「「「……確かに」」」
「リーゼリット!」

 リーゼリットさんがポツリとつぶやいた言葉に、俺とアルトリア、それから遠坂は揃って頷く。
 対してセラさんといえば、眦を厳しくしてリーゼリットさんを叱責するが、当の彼女は相も変わらずぽやーんとしてて、なんというか、ココロここに在らずといった感じだ。顔は双子みたいに似てるくせに、性格はほんとに好対照な二人だなぁ。

「……いえ、今はそんなことはどうでもいいのです。――お嬢様」
「なにかしら、セラ?」

 向き直ったセラさんに対し、イリヤは膝の上にチビヤを抱きながら、冷ややかな態度で応じる。
 そこにはいつもの、俺たちに対しては奔放なイリヤの影はなく、あるのはイリヤスフィール・フォン・アインツベルンとしての彼女だった。

「イリヤスフィール様。今日、私たちが参ったのは、アインツベルンからの指示をお伝えするためです」
「ふぅん……今更ね。内容なんてだいたい予想がつくけど――いちおう聞いてあげる。言いなさい」
「はい。聖杯戦争が終った今、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは直ちに帰還せよ――と」
「……なんだと?」

 ……つまりそれはなにか。

「シロウ?」

 イリヤみたいに幼い女の子を聖杯戦争なんて馬鹿げた戦いに駆り出しておいて。
 終ってから今の今までイリヤを放っておいて。

 ようやくイリヤが普通の女の子みたいに生活できるようになったってのに。
 イリヤは毎日、あんなに楽しそうに暮らしているってのに。

 今頃になって帰ってこいと――そう言うのか。

「ふざけるな」
「貴方には関係のないことです、シロウ様。これはアインツベルンの」
「っ! ふざけるなってんだよ! 今更になってイリヤを返せだと!?」

 迸る憤りを、勢いに任せたままテーブルに叩きつける。置かれたカップが踊って甲高い悲鳴を上げ、跳ねた中身が零れたがそんなのどうでもいい。

 こんなふざけた指示などに応じられるわけがない。誰が易々と従うものか。
 そもそも虫のいい話なんだ。聖杯を作った御三家だかなんだかしらないが、てめぇらはのうのうと高みの見物しゃれこんで、全てが終った今頃になって偉そうに帰ってこいだと? そんなところにイリヤを帰したら、どんなことをされるかわかったもんじゃない。
 俺は許さない。
 よしんばこれがイリヤの両親の口から出たことだったとしても、俺は絶対に認めない。

「イリヤ、帰る必要なんてないぞ。おまえはここにいればいい」
「シロウ……」

 イリヤの髪を梳くように撫でて、その小さな身体を抱き寄せる。
 殆ど無意識で、きっとそれは俺の防衛本能のようなものだったんだと思う。だから包むようにしてイリヤの身体を抱き寄せていた。
 そもそも俺が護ると誓った中に、イリヤは十分すぎるほど入っている。
 アインツベルンがただの親心で彼女を呼び戻すとは思えない。完璧なまでに魔術師の集団であるやつらが、道具としてしか見ていないイリヤをどう扱うかなど火を見るより明らかだ。

 彼らのその在り様は魔術師としては至極当然で、魔術師としてはきっと俺のほうこそが異端なのだろう。
 が、そんなのが正しい在り方だと言うのなら、異端で上等。こちらから願い下げだ。

「セラさん、俺たちの意思は今言った通りだ。イリヤは帰らないし、返さない」
「……もう一度言いますが、これは貴方には関係のないことです。イリヤスフィール様はアインツベルンの奇跡を後継するお方です。貴方ごときが勝手にできるような方ではないのですよ」
「まだそんなことをっ……!」
「ちょっと落ち着きなさいよ、士郎」

 激昂しかける俺に浴びせかけられる冷や水、というか遠坂の冷静な声。

「あんたの気持ちはわかるけど、まずはイリヤに聞くべきじゃないの、こういうことは」
「! そりゃあ……だけどさ」

 遠坂の言っていることは至極真っ当で、頭に血が上っている俺と違って冷静な彼女は公平だ。
 確かにイリヤの意思は無視しちゃいけない。
 俺がいくらイリヤを返したくなくても、イリヤ自身が帰りたいと言うならば俺に彼女を止めることなんできるんだろうか。

 と、遠坂が不意にあくまの片鱗を僅かに浮かべる。

「……で、あんたはどうしたいわけ? 聖杯戦争が終っても帰らずにここに残ったイリヤとしては」
「……性格が悪いわね。トオサカの魔術師は」
「あら、今更思い知ったのかしら、イリヤスフィール?」

 ふわり、と二つに束ねた髪をかきあげる遠坂。
 彼女は頬を膨らませたイリヤに対して勝ち誇ったように、それはそれは綺麗な笑顔を見せてくれた。こんなにも笑顔が綺麗なのは、きっと遠坂が心から笑っているからなのだろう。ていうか、そんなにイリヤをやりこめたのが嬉しいか。
 イリヤはイリヤでなんだか悔しそうにぶーたれてるし、おかげでこちらの緊張も緩む緩む。
 結局のところ、遠坂だってイリヤが帰るのは反対で、イリヤだって遠坂が言うようにもうとっくの前に既に選択しているのだ。

 それがわかるとなんだか安心した。
 この日常は誰もが望んでいて、簡単に崩れるようなものじゃないって再確認できたような気がした。

 だが――

「! シロウ!!」

 アルトリアの発した警告と、屋敷の結界が告げた警告は、次の瞬間にそんな俺の甘さを粉々に打ち砕いたのだ。





あとがき

 今回の弓のシーンは、不心得者が書いた文章ですので、本来の弓道の在り様からすれば明らかに間違ったことを書いていることもあるかと思います。
 もし目に付くところがありましたら、是非教えていただければ幸いです。

 と、いうわけで一ヶ月の沈黙を経てようやく連載再開。今までの短編的なノリとは全く違うので、いかにも新展開、ってのがわかると思います。更に見てわかる通りに、今回の話の中心人物はイリヤです。アルトリアはむしろあまり出番なしってのがステキですよね。

 とりあえずこれでようやく本編に入りましたので、よろしければ今後もまったりと読んでやってください。


感想、ご意見などございましたらこちら、もしくはBBSまでよろしくお願いします。

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