その夜はあまり眠れなかった。

なんたっていろいろありすぎた。

いきなり聖杯戦争という魔術師が己の願いを叶えんと戦い合う狂った戦争。

突然現れた志貴というなんだか謎の多い奴。

結論、とにかく体力が大切になる時と判断したので、俺は無理やり床についた。











 


                  夜と剣の幻想曲SYMPHONY−10   開戦













ゆさゆさ

なんだか心地いいゆれだ。桜が着たのか?

「シロウ、シロウ。朝ですよ。」

ああ、もう朝か。疲れた所為でいつもよりかなり寝坊しちゃったみたいだ。

よし。

まだ若干の気だるさを残す上半身を持ち上げた。

「おはよう、桜。」

「おはようございます、シロウ。」

目を開ける。

すると目の前には金髪。

「さ、桜。い、いつ髪なんて染めたんだ。」

「シロウ。先ほどから言っているサクラとは誰のことですか?」

驚いて起き上がり目の前の人物を見つめる。

顔。とても綺麗なつくりをしている。特にその碧眼には目を奪われる。

服装。白いブラウスのようなものと紺のスカート。

全体。・・・なんだか胸が貧相になったな。

って、桜じゃない!?

「あーーーと、セイバー?」

「はい、そうですが。なにか?」

ああ、そうか。昨日から聖杯戦争とか言うのに巻き込まれてセイバーを召喚したんだった。

ピンポーン

「シロウ、誰かが来たみたいなので見てまいります。」

それにしてもなんだかなれないな。まあ、一日でなれるわけもないが。

そういえば、セイバーが見に行ったけど。誰が来たんだろう。

ん?朝一番に来る人間。

それは言うまでもなく・・・

がー、がーがー

gya−gyaー


ああ、予想道理に玄関が騒がしい。慌てる様で、反面、心に覚悟と言い訳を持って玄関に向かう。

「ですから、私は昨日からシロウとここで暮らしているのです。」

ぎゃあぎゃあ

うわー。なんて誤解を生みそうなことを〜。

出て行きにくいが・・・・・・出るしかないだろうな。

「あ、あのさ。おはよう・・・。」

明らかにキッという二つの目線がこちらに飛んできた。

「先輩。これはどういうことですか!!」

「士郎。おねーチャンはそんな風に育てた覚えはないわようー!!」

ひい!その迫力ときたら、昨日のバーサーカーに勝るとも劣らない。

思わず後ずさる。

「いや、セイバーはその、そう!切嗣の知り合いみたいなんだ。」

じーっと目を細めて二人はこっちを見てくる。くう、信用していないな。

「ほ、ホントだって。なあ、セイバー!?」

ぱちりと目で合図を送る。

「ええ、キリツグには昔お世話になりました。この度はキリツグを訪ねて日本に来たのです。」

おお、アイコンタクトって言うのは万国共通なんだな。

「そう、そう。けどさ、切嗣はさ・・・。けど他に行くところもないって言うからうちに泊まってもらったんだよ。」

すると藤ねえは俺とセイバーをじーっと見つめて・・・たかとおもうと今度は急ににぱっと笑顔になった。

「ふーんそうなんだ。そうよねー、士郎ちゃんにそんな勇気があるとは思えないし、他に理由も考えられないしねー。」

そういって、藤ねえが納得するとしぶしぶといった様子で桜も納得したみたいだ。

ふう。何とかなったな。

心の中でホット一息をする俺だった。


















てくてく

桜は用があるといって結局先に行ってしまった。

てくてく

そういや、学校で遠坂にあったらどうしようか。

てくてく

・・・まあ、そんなことよりもツッコミたいことが一つ。

くるりと反転する。

「なんで、セイバーがついて来るんだ!?」

目の前にいるセイバーはさも当たり前のようにその場にいる。

「なぜと言われましても、私はマスターを守るのが使命ですから。」

「だからって学校にまでついてくるなよ。昼間なら平気なんだろ!?」

一瞬セイバーの眼光がきつくなった気がした。

「・・・分かりました。ですが警戒を怠らないように。何かあったらすぐに飛んでいきますから。」

では、と言ってやけにすんなりと戻っていった。

その姿に疑問を抱きつつも俺は学校に向かった。




























「よし、これで終わったぞ一成。」

「うむ。流石衛宮だな。貴重な放課後を使わせてしまってすまんな。」

「いや、気にするなよ。いつものことだろ。」

放課後。おれは一成の手伝いをしていたらすっかり遅くなってしまった。今日は部活もないから残ってるのは

もう俺たちだけだろう。

「さて、今日は用事があるのでそろそろ引き上げようと思うのだが。」

「ああ、なら先に帰っていいよ。俺はこいつを仕上げていくから。」

「む、すまんな。この埋め合わせはいづれ必ず。」

俺は手だけ振って一成を見送った。






「よし終わった。」

直したストーブを見て俺は帰る用意を始める。

もう夕日も沈みかけている。

セイバーに心配かけたかなと思いながら急いで帰路につく。

だが、校庭に出た瞬間。

ガン!

目の前に、足元にナニカが落ちてきた。いや、放たれた。

「・・・なにを考えているの?あなたは。」

その声の主は遠坂凛だった。

ただし、その顔は彼が知っている優等生ではなく、冷たい、魔術師の顔だった。

「セイバーもつれないでこんなに遅くまで一人で学校に残って・・・。」

一歩、また一歩と遠坂がこっちにむかって歩みだす。

「あなた、死にたいの!?」

彼女は言い放つと同時にその光輝く左手をこちらに向け、次の瞬間。どす黒い球が髪をかすった。

「戦争はもう始まっているのよ。だから私はあなたを殺す。容赦はしないわ。」



「そうですね。もう戦争は始まっています。」



どこからか知らない、綺麗な声が聞こえた。と思っていたら上からナニカが降ってきた。

「遠坂!」

「凛!」

俺の声と、どこからか聞こえたアーチャーであろう声がハモった。

すぐに遠坂はその場を離脱し、どこからともなく現れたアーチャーの後ろに隠れた。

「・・・外しましたか。」

一方、先ほどまで遠坂がいた場所には一人の女性が立っていた。

長い紫色の髪が特徴的で。手には鎖つきの杭のようなものを持っていた。

だが、それよりも目を引くのは目を覆う眼帯だった。

「サーヴァント!?」

「そのようだな。どうする、こいつはここで仕留めてしまって構わんのだな?」

「ええ、勿論よ。やっちゃって、アーチャー。」

その場に緊張が流れる。

アーチャーの手には気が付いたら黒と白の双剣。

それを手に先に突進して行ったのはアーチャーだった。

「はあ!!」

気合を込めての右上段からの袈裟切り。

だが、相手のサーヴァントは素早い身のこなしでそれをかわした。

そして、アーチャーに出来た大きな隙に向かって杭を突き刺そうとする、が。

「くっ。」

突然後ろに下がった。

「ほう、今のを見切ったか。魔力も微弱なのでてっきりもっと弱いかと思ったが・・・。」

先ほどまで紫のサーヴァントがいたところには白い短剣があった。その位置、よけなければ心臓を一突きしていたであろう。

アーチャーらは再びそれぞれの構えを取る。

そしてその時、

「シロウ!」

後ろから声。セイバーだった。

既に鎧で武装している彼女は紫のサーヴァントを見た瞬間、目を見開いてナニカをつぶやいた。

「・・・イダー・・・」

よく聞こえなかったが今は目の前の敵から注意をはずすわけにはいけない。

「・・・り、わたしがた・・・・・・・・・とはち・・・・」

その後も何かをぶつぶつつぶやいているようだった。

「・・・二対一ですか。ここは逃げるべきですね。」

当然と言えば当然の行動。だが、それがこの状況で何よりも難しいのは彼女が一番よく知っていた。

(・・・さてどうしたものでしょうか。)

こうしている間にもアーチャーはじりじりと間合いを詰める。

(しかたない。)

紫のサーヴァントが杭を首元に持ってきた。そう、その時だった。


「はいはい、ここまでだ。」


どこからか聞き覚えのある声。いや、忘れられようか?この声を!

「志貴!」

気が付いたらアーチャーと紫のサーヴァントの間に志貴がいた。

「やれやれ、全く。お前たちはちょっと目を離すとホントに面白い行動に出る。ほら、さっさと行けよ、ライダー。」

ちらりと紫のサーヴァントに目を向けていった。

「!!私のクラスを何故!?・・・まあこの場では些細なことですね。何者かは知りませんが

 ここはお言葉に甘えさせてもらいます。」

すっと身を翻し跳ぶライダーと呼ばれたサーヴァント。

「ちぃ!逃すか!!」

あわてて追おうとするアーチャー。だが、その前に志貴が立ちはだかった。

「・・・貴様、そこをどけ。」

アーチャーがものすごい形相で睨みつける。だが、志貴はそれに臆した様子もなく

「ふう、困るんだよな。今、どっちかが消えてもらっちゃ。ここを行こうってんなら・・・」

志貴は右手をズボンのポケットに入れた。

「俺が少し遊んでやろう。」







あとがき
あー。どうもご無沙汰しておりました。RAMAです。いや、PCバグりましてもうきつかったのなんのです。
ようやく新しいの買ったんでまた投稿させていただきました。もう、なんか皆様に忘れられてそうで(汗

で、今回はライダーも出てきました。もしまだ見ていただけるのでしたら、セイバー、士郎、凛、桜、ライダー。
この5人の誰が、未来の記憶を持っているか推測しながら読んでみてはいかがでしょうか?

最後に遅れましたというか遅すぎですが、100万ヒットおめでとうございます。




管理人の感想

 ふむ、するするとテンポ良く原作通りの展開をなぞっているわけですが、今回のライダー戦はさすがに展開が違いますね。セイバーがさっさと来ましたし。つか、七夜の人が来ましたしー。……そういえばマスター(もどき)の慎二はどこいった。隠れてるんだろうか。
 そんでもって記憶を持っていると判明しているのはいちおうセイバーだけなのですが、他の連中は今回のを見ている限りではどうもまだまだみたいですね。セイバーの行動なんかがいちいち妙にフレンドリーだったりしているのが、らしい感じがして良いですね。


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