解からない。

一体どこから狂ってしまったのだろうか?

つけてきた奴に攻撃したところまではよかった。

だが、なぜ、・・・あいつらがここにいるんだ―――――――――。



















「っはあ、はあ。・・・っく!これは夢か?幻か??それとも俺がいかれちまったってのか!?」

おれはそう吐き捨てた。

この状況で他に何が言えようか。それともこれは抑止力なのか?

「邪魔をしてしまいましたね。私はシエル。埋葬機関第七位、弓と呼ばれるものです。私は今回の聖杯戦争の監督役の任を預かって

 ここに来ました。なのでそんなに警戒しなくてもいいですよ。」

俺の記憶にあるシエル先輩そのものが言葉をつむぐ。

それに周りの連中はすっかり面食らっているようだ。まあ、いきなり教会の切り札である埋葬機関が来たのだから無理はないだろう。

みたところ特に凛は混乱の絶頂と思われる。

「ちょ、ちょっとまって。なんでこんなところに埋葬機関が・・・いやそれよりも、監督役としては綺礼がいたはずよ。」

ふむ、綺礼というのが誰か知らんが監督役なら別にいるだろう。先輩の目的は何だ?

「そうですね。しかし、教会としてはどうも彼は信用に置けないのですよ。それでたまたま同じ国にいたからって私が呼ばれて・・・

 これも全てナルバレックの嫌がらせです。ええそうですとも、あのくそアマときたら・・・・・・ぶつぶつ・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・はっ!?すみません。少々愚痴がこぼれてしまいました。ちなみに後ろの二人は私の連れなので気にしないでください。」

ああ、確信できた。この人は間違いないく俺の知る先輩だ。

「ふーん。それで話は終わり?あーあ、なんかしらけちゃったな。今夜は見逃してあげるね。ばいばいお兄ちゃん、リン、それと知らない人。」

イリヤスフィールは身を翻し去っていく。




「ふう、なんだか変な形になっちゃったけど私たちもいくわよ・・・って志貴!?」

凛が驚くのも無理はない。なぜなら俺はナイフを片手に持ったままゆっくりと彼女らの方へ歩いていたからだ。

「はじめまして、かな?せ・・・シエル、真祖の姫・・・そして遠野志貴。」

湧き上がる気持ちをおさえ、できるかぎり冷静を装う。

それに対して俺以外の奴は驚きを隠せないようだった。

「あなた、私たちを知っているの?というよりどうして志貴のことまで知っているのかしら。志貴の知り合い?」

アルクェイドが興味深そうに見えた。

「いや、生憎黒い包帯で目隠しする知り合いはいないな。」

遠野志貴が答える。その光景に何故かイラダチを覚えた。

「そうよね。それにおかしい事に彼も志貴と呼ばれてたわ。」

アルクェイドはちらりと遠坂のほうを見た。

「・・・いくつか聞きたいことがある。」

俺は彼女の質問を受け流しながら話を進めた。

「真祖の姫・・・お前は自分の吸血衝動を抑え切れているのか?」

するとアルクェイドは表情を険しくした。

「何故そんなことを聞くのか分からないけど答えてあげる。・・・今の私は抑え切れているわ。だから志貴と一緒にいれる。これでいい?

 じゃあ今度は私の質問。・・・・・・あなたは誰?」

―――あなたは誰?、か。ばかばかしいな。

「想像にまかせる。だが、分かっているんだろう?遠野志貴、お前は。」

すると今度は遠野志貴に視線が集中した。

「・・・七夜か?」

・・・

「意外だな。お前からその名前がでるとはな。」

「そりゃあ分かるさ。お前は俺の中にいたもう一人の俺なんだろ?レンの夢で知っている。」

???

ん・・・なんだか話が食い違っている感じがするな。てかレンって誰だ?

「ふむ・・・何か勘違いしているようだな。俺は俺だ。お前ではないし、俺という唯一の存在だ。」

一歩、遠野志貴の方へ足を踏み出す。

「そして・・・どうやら俺はお前という存在がうざったるいらしいぞ!」

そうつぶやくとともに跳躍。遠野志貴目掛けてナイフを投擲する。

ザク

だが、それは地面に刺さっただけだった。さらに目の前に殺気が一つ。

俺目掛けて飛んでくるのは黒鍵。払うのは容易い、と高をくくって弾こうとした。

「ぐ!?」

だが、物事はそんなにうまくいかないらしい。黒鍵を弾いたはずの俺は逆に吹き飛ばされていた。

「ああ、くそ!こんなミスなど!」

目の前には先輩。ということは・・・ああ、名称は忘れたが確か相手を吹き飛ばす特殊な投擲法だ。

すかさず先輩は俺の首筋に黒鍵を突きつける。

「あなたの目的は何ですか?何故遠野君を殺そうとしたのですか?答えなさい。」

その顔は冷徹な代行者そのものだった。そしてその後ろでは遠野志貴を守るようにアルクェイドが立ち、こちらを睨んでいる。

(ああ、やっぱりあいつらにとって遠野志貴こそが重大な存在なのだろう。)

そう理解すると急に体がさめた気がした。

「・・・くくく。ならば、邪魔する奴は容赦しない!」

俺は黒鍵を蹴り上げ、身を翻す。

「俺が遠野志貴を狙った理由は一つだ。―――――何の苦もなく幸せそうに生きているあいつがむかつくだけなんだよ!」

俺はそうはき捨てシエルを蹴り飛ばした。

「くっ!」

流石というのだろうか。弾かれながらもシエルは普段と変わらない正確さで黒鍵を投げてきた。

だが・・・


I can kill things我は 殺す ――――― 

俺は黒鍵に付加しているスピード、あるいは運動とでも言ったほうがいいか、それを殺した。

俺は実際のところ、物事の運動を殺す魔術を最も得意としている。それは一番効果が強いという意味ではなく、単に自分にあっているし、

バリエーションも多いし強弱のつけ方も得意だということだ。

そして・・・

「蹴り穿つ!」

閃走・六兎。一瞬のうちに相手の懐にもぐりこみその首を蹴り、吹き飛ばす。もともと七夜の技には決まった型はない。首を狙うのは

単に急所だから。つまり見切られるのを防ぐために場合によって多種多様に変化する、必殺の一撃だ。だが、

「!?ちぃ。」

止めた。

理由はワカラナイ。考えてやったわけではない。ただ、アルクェイドが俺と遠野志貴の間に入ったのが視線に入った瞬間。

俺は動きを止めてしまったのだ。

俺の様子を不審に思ったのかわからないが、アルクェイドは眉をひそめ、だが次の瞬間にはその爪を振るっていた。

「っが!」

反射的にバックステップで回避を試みたが間に合わず、腹部に痛みが走る。

俺は思わず腹に手を添える。

「・・・はあ、はあ。」

息が荒い。

オカシイ、何故こんなにも息切れしているのだ。いつもの俺では考えられないほど頭がアツイ。

頭痛がする。

俺は腹に添えた手を見た。

「あ・・・。」

そこには真っ赤な血があった。

ワカラナイ。これは何だ。何故俺からこんなものが流れているんだ?

一体どうして?

目の前を見る。

そこには遠野志貴。そして、それを守るように立ちふさがる・・・アルクェイド。

解からない。

何故俺はあいつと戦っているのか。

俺はただ遠野志貴が憎いと思っただけだ。

なのに、何で守りたい人と戦っているんだ?

なんで、なんで、なんで・・・


「なんでそいつを庇うんだよ、アルクェイド!!」


耐え切れず俺は叫んでいた。全くおかしい。周りから見ればともにいたもの同士、助け合って当たり前の状況じゃないか。

そうなると今の俺はさぞかし滑稽なことだろう。

「あなたが何者なのかは知らないけどやるっていうなら相手になるわ。けど、勝ち目があると思っているの?」

ああ、全くその通りだ。遠野志貴を殺すにはアルクェイドも殺さなければならない。

そんなこと実力的にも精神的にも不可能だ。

そもそも遠野志貴を殺すことは本来の目的とはかけ離れている。

これは只の逆切れで、全く意味のないことだ。

だが、そんなことはどうでもいい。

俺は、全力でこいつを殺す。


break and release解き放つ


その言葉で眼を覆っていた黒い包帯が自然に解けていく。

「く!?」

途端、体に重圧。

(これは世界の修正か!?ばかな、速すぎる。それとも俺がこの時代の遠野志貴にあったことが原因なのか。)

だが、今はそんなことを言っていられない。この状態でもアルクェイドを退け、遠野志貴を倒せることをすればいいのだ。


fulled my heart, my body, my power我は満たされる

自分の意思でこれを使うのは二度目。今はこれしか方法がない。

シエルが危険を察したのか黒鍵を何本も投擲してくる。だがそんなものは無駄だ。いま、俺の周りは死が充満している。

従って、この詠唱を防ぐことは不可能なのである。

filling death死が満ちる。

体に一段と大きい負荷がかかる。前よりもひどい。ふときずいたが凛たちはさっきから呆然と立ち尽くしている。

「――――――――――I becoming king of rea我は死神な・・・が!?」

途端、崩れ落ちた。

「―――――!?――――!!」

ああ、周りが何かいっている。けどもう何も聞こえない。

ああ、俺はここで死ぬのか。

下らない自己満足のために、それも達成できないまま。

それに、結局俺は、アルクェイドを攻撃することなんてできない。


・・・いまさらだけど、


――――もし俺に、サーヴァントがいたら違ったかもな―――――――



瞬間、体が光に包まれた。

厚い厚い、けれども優しい光を感じる。

だんだんと光が薄れていく。


そこに金のロングヘアーの女性が立っていたのが分かった。


俺はそのまま気を失った。






あとがき
ども、RAMAです。
えーと、今回の話は志貴(七夜)の混乱とサーヴァント召喚が中心でした。今気づいたら、志貴(遠野)ぜんぜんしゃべってないよ。
まあ、これからたくさん台詞あるしいいか。
てなわけでよろしくお願いします。



管理人の感想

 七夜の人の混乱っぷりは良くわかりました。自分でもなにやってんだか良くわからないけど、とりあえず志貴を殺さんと気がすまない、と。
 それはともかくとして、ここでシエルたちが出てきたということはそれに見合った理由がきちんとあるはず。なんで言峰じゃあかんのか? ナルバレックがなに考えてるのかなどがもう一つのポイントになりそうですねー。

 そんでもって七夜がなにやらサーヴァント召還した模様ですが、はていったい誰なんでしょうか。
 金髪でロンゲの女の人って、わたしゃ朱い月くらいしか思いつかないんですけど……まさか、ねぇ?


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