目の前に現れたのは白い、雪のような少女。紫の服に雪のように白い長髪の少女。

共にいるのは極端に少女とは違う巨人。巨大で無骨な剣を持ち、黒い巨大な筋肉に覆われた―――鬼人という表現が会っているような気がする。

二人の出現は必然か。それとも・・・。

まあ、どちらにしろ俺もやるしかなさそうだ。






「さてと、なんだか知らない人もいるけど・・・いいわ、やっちゃえバーサーカー。」

その少女の姿に似つかわしい先ほどとはうってかわり、冷酷な魔術師となって己がサーヴァントに命ずる。

すると待っていましたといわんばかりにバーサーカーが突っ込んできた。

(はやい!!)

バーサーカーはその巨体からは想像もできないスピードで突進してきた。

「アーチャー!!」

凛の声が響く。それと同時にあの赤い騎士―――アーチャーが飛び立ちながら弓を引く。

「■■■■ーーーー!!!」

その、散弾銃のような矢の雨にもかかわらずバーサーカーは雄たけびをあげ突っ込んでくる。

(ば、ばけものか。)

俺は用意した投擲用ナイフを懐に戻した。

バーサーカーの進路。その先には士郎がいた。

すかさず、セイバーがバーサーカーを止めるため、己がマスターを守るために立ちふさがる。

「■■■■ーーーー!!!」

走ってきた勢いそのままにその大剣を振り下ろす。

「セイバー!!」

士郎の叫び声がそこに木霊した。


ガギィン      ガギィン      ガギィン   ・・・


それは見るものを圧倒する光景だった。

怒涛の勢いで攻撃するバーサーカー。その一撃一撃が人間にとっては即死のものだ。その破壊力ゆえにとめることはかなわず、その速さ

ゆえにかわすこともかなわない。ゆえに必殺。いかなるものも寄せ付けない圧倒的な暴力だった。

だが、

「くっ。」

セイバーは持ちこたえている。よけることもできるだろう。だが、士郎を守るために受け続けているのだ。

ああ、なんて高揚感。

世界はこんなにもつぎはぎだらけなのに、

そこに生きるものははかないほど美しい。

そして、これが霊長から生まれた抑止力――英霊か。

まったく、たまらないじゃないか。


――――壊したくなる。



今後ろからセイバーを切りつけたらどうなるだろう。

簡単。ここでこいつらの聖杯戦争はおわる。只それだけだ。

(・・・だが今はその時ではない。)

ちらりと前を向く。どうやら舞台が移る気配だ。セイバーはここでは不利と察したのだろう、障害物のあるところへ誘導している

ように見える。

そして凛とアーチャーがそれを追う。

「?」

はて、一人足りない。

「士郎、お前は行かなくていいのか?」

こいつは何故か一人でその場に佇んでいた。

「いいんだ。俺が行ってもセイバーの足手まといになるだけだ。」

只俯いたままでそう答える。

(・・・凛に何か言われたな。)

ここで判断に迷う。俺としては連れて行くべきだと思うが、それが正しかった選択なのだろうか。また、士郎に目を向ける。

(・・・)

やれやれだ。

「残りたいのなら残れ。ただし、貴様の目指す道に相応しいことかは自分で考えろ。」

その言葉にばっと士郎が俺を見る。

「何でそのことを。・・・お前は一体、」

明らかに動揺している眼。だが、確かに先ほどまでなかった光を感じた。

「俺はセイバーを追う。・・・ありがとな、志貴。とんでもない間違えをするところだった。」

そのまま士郎は全速で駆けていく。その背中に迷いはなかった。



一人残される。

「・・・さてと、俺もやることやってしまうか。だが、」

周りを見回して言う。

「先にのぞいているやつを片付けないとな。」

そう、さっきから見られていた。恐らくは3・4人。狙いは分からないが盗み見されるのはむかつく。

「・・・もうあいつらを追っていったみたいだな。」

とりあえずそいつらの姿を先に確認することにした。

(・・・俺のサーヴァントっていつ召喚できるんだろう。)

自分の甘さにそうぐちをこぼした。
























「先輩。今のがサーヴァントって奴ですか?」

黒ぶちの眼鏡の青年が隣を歩くシスターのような格好をしている女性に声をかける。

「ええ、そうですよ。これが聖杯戦争。魔術師たちと英霊が自らの望みをかなえるために争う戦争です。」

その女性の口調は穏やかだったが顔は決して笑ってはいなかった。

「けど災難よね、あなたも。こんなところで監視なんて。」

青年の逆隣にいた金髪の女性がそう言う。

「まあ、仕方ありませんけどね。彼は優秀ですが魔術師としての一面も持っているみたいですし。」

ため息混じりにシスター風の女性が言う。

「あっ。どうやらついたみたいですよ。」

その青年の声に二人の女性がそちらを向く。

そこには先ほどと同じ光景。墓所だろうか、セイバーと呼ばれていた見えない何かを持っている少女と無骨な大剣を持っている巨人の戦い。

それを見守るアーチャーと呼ばれた赤い騎士。その傍らにはツインテールの少女と赤い髪の青年。そして別の場所に白い少女。

「先輩、黒い奴がいませんね。」

「ええ、最も不安定な魔術師のようで逆に一番強大な力を持っていたように思えましたが。」

青年とシスター風の女性が話し合っていると金髪の女性が割り入ってきた。

「どっかに逃げ出したんじゃない?」

なんとも適当な発言にシスター風の女性は怒りを覚えたのか、体をプルプル震わせている。

「ま、全くあなたという人は。もう少しまともなことがいえないのですか?」

しかしそんなことを全く気にせず、なぜか金髪の女性は青年に抱きついた。

「お、おいこら。」

青年が顔を赤くしておろおろする。

「いいじゃない、シエル。どうせかんがえても仕方のないことだし。ねえ、志貴?」

彼らは近辺の木の陰に隠れた・・・。





















たどり着いたところは墓地だった。

目の前には先ほどと変わらない光景。

二人の英雄が互いの目的のための戦っている。

「既に来ているみたいだな。」

士郎の姿を見つけてそうつぶやく。

「そして、あいつらもか。」

いまだ姿の見えない誰かに向かってそうつぶやく。

俺は士郎たちのところへ向かった。

「凛、俺を監視するんしゃなかったのか?」

いやみのように言った。いや、そのままか。

すると、かあっと顔を赤くして、

「う、うるさいわね。アーチャーが見ていたからいいのよ。」

と騒ぎ立てる。

「ところで、誰かに見られていることには気づいていたか?」

その言葉に三人の顔が驚きを伴ってこちらを向く。

「おそらくはあの木の陰、アーチャー、凛。そこに向けて攻撃してくれ。その隙を見て俺がやる。」

俺は体の調子を確認する。・・・閃鞘は使えて4発ってとこか。まあ、十分だ。

「タイミングは任せる。ただ感ずかれないように一瞬で頼む。」

するとコクリと二人が頷く。

・・・ただ一組の斬り合いの音だけが響く。その中、精神を集中させる。

「・・・いくわよ、3・2・1・・・」

ゼロ、という言葉とともにアーチャーが弓を放ち、凛黒い弾丸―――ガンド―――を放つ。

ドズンと木が倒れる。

セイバーとバーサーカーは戦い止めなかった、いや、とめられなかったのだろう。変わりにイリヤスフィールのちゅういがこっちに向いた。

そして

思った通り、その木陰からは3人の人影が飛び出した。

「とった!!」

自らの確信を声に出し、七夜の移動術を使って三人の着地点に辿り着き、上に向けて突っ込もうとしたが、

「な・・・。」

そいつらの顔を見た瞬間。動きがとまった。まるで時が止まったかの様な感覚だった。

一人はシスター、一人は黒ぶち眼鏡の青年。そして・・・

「あ、る・・・く・・・」

三人が俺と間合いを取るように離れて着地した。そしてこちらを警戒する様に油断なく構える。



わからない・・・


一体この光景は何だ。


なぜ、ここに、こいつらがいるんだ。



「く、ああ・・・。」

頭痛がする。

思わず後ろざる。


分からない。

解からない。

ワカラナイ。


なぜ、あいつらが。

「共に生きているんだ・・・。」

呆然としながら、ようやくそれだけが声となって現れた。






あとがき
おいっすRAMAです。
まあ、これも予想の範囲内ですかね。二人の志貴とーじょー!わーわー。
てなわけでいきなり修羅場ですよ。ちなみにこの志貴はアルクグッドで歌月が終わった。ところです。


予告
次は志貴がサーヴァント召喚?結構泥沼かも。



管理人の感想

 ふむふむ、ほーほー。志貴が二人目ですか。ぱられるぱられるー、という感じですね(どんな感じだ)。
 なんにせよ予想外の展開という意味では完全に予想の外でした。ここのところの話で、志貴一号が完全に七夜になっていたので、どうなることやらと思っていましたが、こうきましたかー。
 で、次回はやはりサーヴァント召喚よりも先に、志貴一号と志貴二号のやり取りのほうが気になるんですけれど……むしろそっちのがメインになりそうなんですけどね。
 まあ、その辺はRAMAさんの構想している展開次第、ですね。


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