「そういえば最近、志貴見ないよな。」

皆で夕飯を食っている最中にふと言った。

「もう一週間ですよね。」

山盛りのご飯を平らげながら桜が言う。

「そんなのいつもの事じゃない。それより士郎。あんたそろそろなんか一つ、専門的にやってみたらどうよ?」

こっちは既に食べ終って、カチャカチャと何かをいじっている。

「そうですね。私としては彼がいないほうがいささか安心できます。」

一方紅茶を啜るライダー。

「私も同意見ですね。士郎や桜はかれにすっかり気を許しているようですが、私は彼を危険視しています。ええ、彼は侮れない。いつ寝首

 をかかれてもおかしくない存在ですよ、彼は。」

と、こちらに空の茶碗を差し出してくるセイバー。

「いや、あいつは信用できる奴だよ。なんてったって・・・いややめよう、それよりも気がかりな事があるんだ。」

「「「・・・」」」

いや、皆無視かよ!!

「あ、実は私もあるんです。」

「ほう。」

「気になりますね」

「はっきり言っちゃいなさいよ桜。」

・・・この扱いの差は何なんですか!?俺の地位はそこまで低いと!?

セイバーに山盛りの茶碗を渡す。

「はい、あの。うわさで聞いた話なんですけどシュバインオーグ様が夜襲を受けて犯人が志貴さんらしいんですよ。」

桜が言ったのは俺が思ってた内容と同じだ。しかしそれを聞いた遠坂は、

「ぷ、あっはははははは!!ちょっと本気?あんた達?そんなのないないって。」

あははは、といまだに笑い転げる遠坂。

「いや、彼が消えたのもちょうどその時ですから可能性はゼロではありませんよ。」

「む、じゃあ何、ライダー。魔法使いにけんか売るようなことをする奴がいるってい・・・あいつならやる・・・か?」

・・・しばしなんともいえない空気が漂う。

最初は気にもしていなかった遠坂もそれがありえそうだと気付くと、手を口元に沿え考え始めた。

この沈黙を破ったのはセイバーだった。

「もぐもぐ・・・そんなに気になるのならシュバインオーグ殿を訪ねて見たらどうでしょう。」

「あのねセイバー。そんなこと聞けるわけないじゃない。第一どうやっていくっと、」

急に遠坂が後ろを向いた。どうやら誰かの使い魔から連絡があったみたいだ。

「・・・シュ、シュバインオーグからこっちに来いってきたーーーーーー!!」

叫ぶ遠坂の顔は青ざめている。

「ちょうどいいじゃないか遠坂。ついでに確かめればいいだろ。」

そういうと遠坂が涙目でこっちを睨んできた。

(うおっ。美人の泣き顔ってきれいって言うけど本当な)

「あんた、あたしがどうなると思ってるのよ!!しかも今すぐよ!今すぐ!?何だってんのよ〜。」

うがーと遠坂が叫ぶ。そんな彼女を連れて俺たちはシュバインオーグ卿が泊まっているという屋敷へ向かった。





















こつこつ、と廊下を歩く。見た目もそうだったが中もなかなか。なんとも高級そうなつくりをしている。その辺に何気なく飾ってある絵や

壺もものすごい値打ちのものなのだろう。

遠坂と桜は勿論。俺も緊張して無言のまま歩を進める。・・・やがて一番でかい扉の前に付いた。

「じゃ、じゃあ開けるぞ。」

無言で遠坂と桜が頷く。

ぎぃ、と重々しくドアが開く。

その先には先日見たシュバインオーグ卿。窓際にはあ、蒼崎青子さん!?それに椅子に立てかけてあるものは見間違えることがない。

・・・宝石剣だ!!

「「「し、失礼します。」」」

「「失礼します」」

緊張しきったおれたち。こういうのに離れしているっぽいサーヴァントたちは言葉一つでも識別ができるほどの違いがあった。

「きたか・・・。そんなに緊張するな、その辺に腰掛けなさい。」

言葉に従っておずおずと椅子に座る。

そして、シュバインオーグ卿の言葉を待つ。

「さて、まず尋ねるが君たちは七夜志貴という人物を知っているか?」

直球だった。ある意味願った問いである。それと同時に恐れていたのも事実だ。

それはうわさが真実とあらわしているようなものだからだ。

俺たちはただ頷くことしかできなかった。

「君たちは特に親しかったと聞く。その志貴なんじゃが・・・」

う〜む、とシュバインオーグ卿が首をかしげる。

「ここからは憶測なんじゃが・・・じつはの、志貴がわしの宝石剣と奴の魔眼で過去に、恐らくは君たちの聖杯戦争時代に言ってしまった

 のじゃよ。」

「なっ・・・」

それは誰の呟きだったか。しかしそれがみなの心情を表していた。

「詳しい説明が必要よね。私からしましょう。」

先ほどまで窓際で傍観していた青子さん(勿論声には出さない)がこちらに向かってきた。




















「・・・というわけよ。理解した?」

青子さんの説明は強烈過ぎた。それはこの世界でもありえないぐらい異常だった。

一族の異端さ。成長の過程の奇怪さ。その目の異常さ。出会った人物の異常さ。

その全てが常軌をいっしていた。

そして志貴が聖杯を求める理由。

なんともたまらなくなる。

だけど、

「けど、あの聖杯では志貴の望みはかなえられない。」

その言葉にシュバインオーグ卿は頷く。

「確かにその通りじゃ。じゃが可能性は0ではない。それにやつが何をしでかすか分からん。最悪、世界の修正で消されてしまうかもしれん。

 時間転移なんてわしもしたことがないのでなんとも言えんがな。」

「それで私たちにこの話を聞かせた理由というのは。」

遠坂が既に魔術師の顔でいう。

「思ってる通りのことじゃよ。七夜志貴を連れ戻すこと。最悪・・・殺してでもだ。」

「しかし、私たちには時間転移はできないのでは?」

「うむ。そこのけんじゃが・・・」

隣では遠坂とシュバインオーグ卿がなにやら話を続けている。

だがそんなことは耳にはいってこない。

志貴を殺す!?

それだけが頭の中をこだましていた。

いや、そうと決まったわけではないが、似たようなことをするのだろう。

それでもあいつを止めなければいけない。

「・・・つまり精神だけを過去に戻す。ただし記憶は眠った状態でだ。時期に思い出すだろうから心配は無用だ。世界の修正を回避するため

 にしょうがないんじゃ。ちなみに今の能力はそのままだから安心しなさい。」

「はい、分かりました。って士郎聞いてた!?」

「おう、絶対に志貴を連れ戻してみせる。シュバインオーグ卿!これからどうすればいいんですか?」

俺は志貴を連れ戻すという使命を帯びた瞬間。急に気合が入った。周りはなんだか俺にびっくりしているが。

「うむ。頼もしい限りじゃな。そうだな・・・ではこの宝石剣に意識を集中しなさい。」

みなが一斉にそちらを向く。するとシュバインオーグ卿と青子さんは顔を見合わせ詠唱を始めた。

ultimate――――其は魔の究極の―――

・・・・・・destroy・・・は壊れ滅する・・・」


瞬間。あたりに閃光が走り、俺の意識を奪っていった。

最後に二人の叫びが聞こえた気がしたが何にも分からなかった・・・。



























夕焼けの中。俺は無様に地べたに這っている。

カラダガアツイ・・・

カラダガキシム・・・

これが世界の修正って奴か。もとより世界に嫌われていた俺だ。ある程度のことは覚悟していたが

くそっ!!ここまでとは。

「ならば!!」

最終手段。

俺は包帯からちらりと自分の点を見た。

その中の一つを正確に突く。

途端。体が軽くなった。

とりあえず世界からのは一日ぐらい平気だろう。後は・・・

!?

な、なんだ!?急に眩暈が・・・。

「く・・・やはり代償ということか。」


コツ コツ


薄れ行く意識の中。足音が響く。

天国からのお迎えか?いや、俺は地獄か。

「お、大丈夫かお前。ちょっと待ってろ。うちに運んでやるから。」

足音の主だろうか。心配そうに声をかけてくる。既に何を言っているかも分からない。

ただ、ふと見上げた時に。

その赤髪だけが記憶に残った・・・。





あとがき
どうもRAMAです。
てなわけで聖杯戦争編もしくはアルク救出編スタートです。
また、へんなことやっちったなあと思うRAMAです。確か前に予告的なこと書きましたよね(?
まあ、逆行物に近い形で二部を送っていきたいと思います。
それではこれからもよろしくお願いしますね。


※訂正とお詫び
前回の

おそらく俺が唯一子のかをを見せる時だろう。→唯一この顔を見せる

です。

いつも誤字の多い私ですが、流石にこれはまずいと思ってお詫び申し上げますm(__)m




管理人の感想

 あー、と。まあ、前回の展開からして士郎が絡んでいくにはこういう展開になるのかなー、とかそんなことは思っていたんですけどね。
 こっから逆行して、志貴が絡んだ上で、本編の再構成的な展開になると思うんですけど……
 正直なところ、このペースでいったら終わるのにどのくらいかかるのかなー、とか思ったりします。

 本編再構成はただでさえ茨の道だと思いますので、相当にプロットを練りこまないと大変ですよ。おまけに士郎たちも自分の能力を保ったまま逆行しているらしいので、見せ場を作り出すんだったらよほど捻らないと……
 ていうかまあ、凛とかセイバーとか桜とかライダーなんて、聖杯戦争当時から基本的に能力的にはなんも変わってないと思うんですけどね。問題は士郎だ。

 というわけで、頑張ってくださいませ。


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