古来より暗殺は夜に待ち伏せると相場が決まっている。

凍えるような夜に、月の光が差し込む。月の光は眩しく、それでいてはかない。

いま、この世界は月を除けば一面の闇に覆われる。世界は軽いひずみで闇に包まれる。――――――なんて脆い世界。

ささやかな月光の中、建物の上にて、俺――七夜志貴は奴を待つ。








・・・









季節は冬。寒い冬の空。それを見ていると毎年のことだが、昔の事を思い出す。・・・聖杯戦争。

毎度この季節になって同じことを考える。

―――――俺はあれから成長したんだろうか。

それは解のない問い。だがもし、それに答えられるとしたら・・・。アーチャーしかいないだろう。

だが、それはありえない事だ。俺は今を考えなければいけない。




さて、現在は十時といったところか。心なしか皆があわただしく動いている気がする。

「なあ、志貴。今日皆騒がしいけどなにかあるのか?」

俺が問うがはやいか、志貴はいきなりあきれ顔になった。

「おまえ、何にも聞いてないのな。」

志貴は何か知っている模様。

「先輩・・・」

「はあ・・・」

「・・・・・・」

周りを見回すと、桜たちも同様だ。

ああつまり、・・・知らないのは俺だけということか。

「で、一体何があるんだ?」

じっと、桜を見つめる。すると桜はあわてる様に目を背け、顔を赤くしてしまった。実はこれは確信犯。日ごろやられっぱなしだから、こ

のくらいやってないとバランスが取れないのだ。

「あ・・・えと、・・・」

俯きながらうまく言葉を発せない様子。そんな姿を思わずかわいいと思ってしまう。

「ああもう!いい、士郎!?耳の穴かっぽじってよく聞きなさいよ!」

おろおろしている桜を見かねてか、遠坂が話を始めた。

「いい!?今日は魔法使いが来るの!それも、遠坂の大祖父シュバインオーグ卿がよ。皆があわてるのも当然だわ。」

・・・はい?シュバインオーグさんって、確か聖杯戦争の後始末の時に協会に来たっていう方ですか?あれですよね。ひょっこり現れて弟

子をとってそのほとんどを潰していくっていう、通称「協会がもっとも頭を悩ます人物」ですよね。ってうわ!遠坂さん。あなたも震えて

ますよ。というか、震えてないのは志貴だけだ。まあ、あいつも魔法使いの弟子だからな。もしかしたら面識があるのかもしれない。

「ということだよ士郎。さて、立ち話しているうちにだいぶ時間がたったみたいだ。迎えが来ているぞ。」

?何のことやらと振り返るとそこには

「シロウ、まだこんなところにいたのですか。魔法使いが来るのでしょう?是非ともこの目に焼きつけておかねば。」

「もう、皆並んでいますよ。桜、急がなければ!」

ライダーとセイバーがいた。というか外部の人までしっていて何故に俺だけ・・・

・・・う〜ん。思わず首をかしげる。

「シロウ。なにしているのですか?先に行ってしまいますよ?」

「・・・ああ、悪いセイバーってえええ!?」

驚いた。なんせ顔を上げたら皆既に三十メートルは離れたいちにいた。

「は、はえーよ。まてってばー。」

緊張した魔術師一同とワクワクと遠足気分のサーヴァントたちがそれぞれのおもいをもって会場にあしをふみいれていった。


















会場に入る。中は外から見たよりずっと広く、明るい。所々に料理や飲み物が置かれているあたりパーティーみたいなものをやるらしい。

そういや、おれ、シュバインオーグさんってどんな人か知らないんだよなー。

「ね、姉さん。シュバインオーグ様ってどんな方なんですか?」

桜と遠坂が、ちょうどその話をしているみたいなので聞き耳を立てることにした。

「ふぉ、ふぉうでふひょ、ひん。ふぁふぁひもききふぁいとおふぉへまひは。」←あとがきのところに答えがあります。
                                        考えてみてね♪
・・・いや、セイバー。口のものなくしてからしゃべれよ。ってあっ!こっちにご飯飛んできた!!!うう。。。

「セ、セイバー・・・あんた汚いわよ。」

その遠坂の言葉にぼっと赤くなったセイバー嬢は、後ろを向いてその辺のナプキンで顔をふいている。

――――ああよかったよ。その辺はまだ女の子なんだねセイバー。って桜!羨ましそうに見ない!

「ふう、それでリン。シュバインオーグとは一体どのような者なのですか。この前の蒼崎という人みたいに強大な魔力を持っているのでし

 ょうか?いや、それは愚問ですね。今の世の魔法使いならば相当な偉人に違いないでしょう。どうなんですか!リン!」

セイバーの怒涛の質問に流石の遠坂もうっと口を濁した。

「う・・・ん。まあ、見た目は恰幅のいい老人で、性格も気まぐれだけど弟子である遠坂の家の人間には優しいけど・・・」

ん?心なしかなにか隠してるような、言いにくい事があるような感じがする。

「それでもって全盛期にはかの赤い月を滅ぼした。もっともその時の戦いで今では死徒27祖の4位に数えられる始末だがな。」

そこで、横から割っていってきたのが志貴だった。って、今すごい事を言わなかったか?

「つ、月の王に勝ったというのですか!まさか、いや、それこそが魔法の力ということですか。」

うーむとセイバーが腕を組んで考え込む姿勢をとる。

いや、そんなことより、

「待てよ遠坂!シュバインオーグ卿は吸血鬼なのか!そんな奴がここに来て平気なのかよ!?」

吸血鬼というと去年のワラキアの夜を思い出す。あれが確か13位だった。てことはあいつより確実に強い奴なのだろう。もしものことが

あったら、俺は・・・

「はい、すと〜っぷ!士郎、あんた今、大祖父と戦うかもとかかんがえたでしょ!?」

え、と情けない声が漏れた。まさかそんなことをいわれるとは思わなかったからだ。・・・えすぱー?

すると、遠坂がため息を漏らした。

「いい?士郎。大祖父はまがいなしにも魔法使いよ。そんな人が簡単に吸血鬼成り下がると思う?」

「じゃあ、その心配はないんだな?」

恐る恐る聞き返す。

「そんなことがあったらいまごろ埋葬機関が動き回ってるわよ!」

途端、その辺のいすに座り込んだ。まったくひやひやしたよ。

「なあ、志貴?」

どうせ馬鹿にされるだろうがいつものように話を振る、が。

「あれ?」

さっきまでそこにいた志貴が何時の間にかいなくなっていた。

「桜。志貴知らないか?」

「え、さっきまでそこに・・・あれ?」

不思議そうに桜も首をかしげる。

で結局、

「まあ、あいつがいなくなるなんて日常茶飯事だしな。すぐ戻ってくるだろ」

そういって俺たちは舞台の上に現れたシュバインオーグ卿に視線を向けた。

・・・後から思えば、この時、志貴を探しにいっていればあいつの運命はかわっていたのかもしれない。































「じゃあな士郎。それなりに使えたぜお前ら。・・・なかなかに楽しい時だった。」

未練がないといえば嘘になるだろう。表面上はニヒルを装っていたが確かに。・・・俺はあの中にいることに安らぎを感じていた。

だが、それは俺には過ぎた幸せだ。既に前に向かって進んでいるあいつらと違って俺はあの時から一歩も前に進んでいない。

そんな俺にはあの時間はふさわしくない。・・・俺にはやらべき事がある。

「そろそろか・・・」

時計の針が深夜一時を指す。予定ではこの時間にこの通りを通る。

心なしか月明かりが増した気がする。

果たして俺を祝福してるのか、

それとも邪魔をしているのか。

思わず笑みがこぼれる。―――あぁ。全ては運しだい。

だが、アルクェイド・・・おまえのためなら、運命さえも殺して見せよう。



コツ   コツ    コツ



足音だ。ついにお出ましか。

ちらりと奴を一度だけ確認する。隣に吸血鬼が二人。「万華鏡カレイドスコープ」も堕ちたものだ。なにやら話しているようだがそんなことは関係ない。

左手には発火のルーンが刻まれた投擲用ナイフが一本。

右手には七ツ夜を逆手に構える。

「・・・いくか。」

俺は上からナイフを歩いている三人目掛けて投擲した。

その速さ弾丸の如し。しかし三人とも前に体を出しかわした。だが、そこに激しい炎が襲い掛かることになる。

その二人はたまらず上に飛ぶ。



だが




それは



犯してはならない間違い



建物の壁を疾走する。七夜の歩行の基本は静から動への高速転換。走り始めるとともに最高速度まで一気に持ってくる、神速の動き。

「―――――閃鞘」

この時の俺はまったくの無音。

足音は当たり前のようになく、

空気をすり抜け、

呼吸音さえかき消す。

俺は闇に同化する。



標的は二匹の吸血鬼。下らないただの雑魚。

ならばせめて、

一刀のもとに切り伏せてやろう。



「―――――七夜。」

それは一瞬。

さか手に構えた七ツ夜を目にも留まらぬ速度で横一線。
ゴミ
吸血鬼どもは地面に落ちる前に地獄へ堕ちていった。





「―――――流石だ。その炎が当たらないと分かってそこにずっといたんだろう?それとも単に動けなかっただけかな?」

くくく、と今も高々と燃え盛る炎に背を向けて告げる。

すると、突然炎が掻き消え、次の瞬間には一人の老人の姿が浮かび上がった。

いや、老人というのは不適切だろうか。顔にしわがあり、髪も白髪ではあるがその肉体。とても老人と呼ぶには恐れ多い。

「ふむ、状況がいまいちつかめんな。お主はわしは助けたのか、それとも」

途端、場の空気が変わる。

「まさかわしの首でもとろうと思ったわけではあるまいな、ええ!?」

強烈な殺気。恐らく並大抵、いやそれ以上のものでも足がすくんでしまうであろう。

そしてそれははったりではなく、確実に俺に向けられている。


・・・だというのに

「・・・ククク。」

笑いが止まらない。俺の中の七夜の血がこの状況すら楽しんでいるのだろうか。

「俺は七夜志貴。キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ、ただいまより貴様を拿捕するものだ。」

さて、第一幕の開幕だ。

まあ、いきなり最強の敵というのも悪くはないか・・・




あとがき
どもども、RAMAです。いよいよ始まりました。第二部。数え方も変えて心機一転がんばろうと思います。
さて、今回の話ですが・・・いきなりやっちゃいました。そうです。二部でいってたタ−ゲットはこのお方です!
二部の主人公は志貴君は引き続くのですが、今回は士郎くん!君に相当がんばってもらうことになります。
ではさいごにセイバーの?語の訳

「そ、そうですよ、リン。わたしも聞きたいと思ってました。」




管理人の感想

 さて新展開ですね。どうなることやら、と思っていたんですが……

 いきなり無敵ジジイ登場ですかい。しかも志貴とバトルしてしまうんでしょうか? あわわわわ……
 それにしても志貴の性格がだいぶ遠野からかけ離れてきてるようですね。多分、修行してたころにでもなんかあったんでしょうけど。
 まあ、なにかといろいろ引いているので、なんぜジジイがこんなところにきたのかとか、いきなり喧嘩売るなよ志貴とかそういうのは次回以降に持ち越しということで。

 あ、あとですね。文章中に『←あとがきのところに答えがあります。考えてみてね♪』とかこういうのはあまりやらないほうがいいと思いますよ。それだけで物語に没頭できなくなりますから。映画とか見ててその物語にのめりこんで楽しんでるときに同じようなことされたら一気に醒めちゃいますよね?


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