目の前に閃光が散乱する。

その中で俺は点を見た。

頭痛がする。おそらく昔の俺ならとうに廃人となっていただろう。

直死の力の限界点、つまり在るもので最も理解しにくいもの。すなわち目に見えないもの。

これが直視の魔眼をほぼ完璧に使いこなせた俺だからこそ、死なずに使えた力。

もっとも死を見ることなど、他の誰にもまねできないだろうが。













泥が消散する。ネロ・カオスとなったタタリは滅びた。

そして再び現象として現れる。                     ・・・・・・・・普通は。


「な、なに、あれ。」

後ろから凛の声が聞こえてくる。その不可解とも思える光景に思わずでてしまったのだろう。

目の前には黒い球体。大きさは2〜3メートルほどだろうか、周りには若干青白い光を纏っている。まるで

人を飲み込んでしまうかのようなその風貌はまさにタタリそのものだ。

「志貴、アレは一体?」

シオンも警戒しながら聞いてくる。シオンも知らなかったのか。

「正直俺にはアレが何だか理解できない。けど、どんなものかは分かる。」

みなが怪訝そうな顔をこちらに向ける。我ながら矛盾した発言だったか・・・

だが、なんと言われようと点を突いた俺にだからこそわかる。あれは・・・

「あれはタタリの情報体。つまりタタリの本体であり、世界に存在しないもの。」

故に俺の直死の目でも死を見ることはかなわない。そもそも次元が違うのだ。ないものは殺せない。

「アレはほっとくとどうなるんだ?」

士郎が訊ねてくる。他の皆はこの状況の不可解さと俺のことについての疑問で頭がいっぱいだったよう

だが、その言葉で再び俺に意識が向く。

「うん、そうだな・・・断言は出来ないけど何年かしたらまたタタリとして永遠に発現すると思うよ。」

「正確には千年の赤い月との契約が切れるまでですけどね。」

シオンが付け足しをした。

おれは前を見る。

ふと先生との言葉を思い出した。

「何かあった時には私に連絡しなさい。」

・・・ごめん先生。約束は守れそうにないや。

おそらく後数分でタタリの情報体はここから去ってしまうだろう。その前に手を打つしかない。

「皆、悪いけどちょっとっていうか結構離れてくれ。」

そういうと共に目を閉じ、意識を内に向ける。












もう何も聞こえない。

もう何も見えない。

もう何も感じない。

あるのは回路のみ。

そしてその回路に死の情報が混ざりこむ。

俺の魔力が死に染まっていく。

周りから見れば今の俺は異様だろう。おそらくは目の周りには赤い紋様が浮かび上がっているはず。

額には黒い封印のルーン。全身にも隠していた封印のルーンがそれこそ無限に浮かんできているだろう。

break and release解き放つ

いま

言葉を紡ぐ。

気を失えばまた元に戻るので気にする必要はない。もっとも生きていたらの話しだが

俺の回路が、直死の目と結合する。

魔力が完全に黒く染まる。

サイは投げられた。もう後戻りは出来ない。もとよりそんな気持ちがあるならこんなことはしない。

fulled my heart, my body, my power我は満たされる

呪文を紡ぐ。次第に体の紋様は額のそれをのこし消え去った。

filling death死が満ちる。

体に一段と大きい負荷がかかる。そして最後の節を解き放つ。

「――――――――――I becoming king of reaper我は死神なり

!!


































目も前に広がるのは草原。

広く広く、それこそ限りがないように延々と続いている。

そらには二つの月。紅い月。蒼い月。

ここには前にも着たことがある。

それはこの身が一度死んだとき。

世界の原初への入り口を垣間見たあの時。



唐突に理解する。

この先がアカシックレコード、根源か。

それこそが世界中の魔術士の最終目標。

そして、七夜志貴をこの世でもっとも拒む世界の理。


歩き出す。

このままいけば根源にたどりつるだろう。

師である先生もここからはすっといけたはずの道。

だが、世界は七夜志貴を拒む。

故に七夜志貴一人では根源にたどり着くことは出きず、次の瞬間には意識が白くなっていった。
































現実の世界に戻る。

既に詠唱は完了した。目を開ける。そこには蒼い蒼い目。きれい過ぎる蒼眼。だが・・・

いま、

その瞳には、

一本の大きくふとい金色の線が刻まれていた。

強烈な吐き気と頭痛が襲う。これに必死で耐え目の前を見渡す。

そこには相変わらず線も点も見えないタタリ。

そこには一変して線も点も見えない世界。



自然と笑みが浮かぶ。

ちらりと七つ夜をもった右手にしせんをおとす。

するとどうだろう。

七つ夜は相も変わらず銀色に光っている。

だが、その取っ手にかかる手は真っ黒だ。

手は線と点にまみれている。

全身は線と点で埋め尽くされている。

しかしこれを絶とうとも七夜志貴が消えることはない。何故ならこの線と点は彼のものではないからだ。

いや、いささか語弊がある。

この線はやはり彼のものだ。

見ると徐々に黒い線と点は消え去り、見た目いつもどおりの彼が姿を見せる。


「・・・くくく、くっくっく。ふはははっははははは。」



このことに満足したのか、俺は声を上げ、狂ったように笑う。

そのだらんとした姿勢のまま目の前のタタリを見る。

相変わらず線はみえない。

だが俺の右手は再び黒い点に埋め尽くされている。

「ははは、はっはあああああああああぁぁぁ!!!!」


普通なら勝機がないような状況で正気を失ったようにおれは突っ込んだ。





あとがき
うーん。なんか今回は少し分かりにくい内容だったかも。
あれですよ、あれ。4話に出てた「直死の魔眼2」です。
なんにせよ詳しい解説は次回いたしますのであしからず。
でわでわ




管理人の感想

 ふーむ、これは結構予想外の展開でしたねぇ。カットカットの人かアルクか、その辺りかなーとか思ってたんだけど、概念としてのタタリそのものがでてくるとは思ってもみなかった。志貴の直死の魔眼は予想範囲内だったんですけどねぇ。
 さて、その直死の魔眼2とやらを発動した志貴ってば、妙にイッてますね……なんでさ?

 ところで今回、私のタタリ予想の一つにG秋葉ってのがあって、内心激しく期待してたんだけど……やっぱ、無理か。


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